長沢楓

 落ち着いた色調と柔らかな筆致を特徴とする長沢の絵画は、民芸品から引用した鳥や植物や器などを描くことで、東洋の生活文化のなかで育まれた民芸品にまつわるプリミティブで素朴な魅力を再定義します。超絶技巧を志すことなく、むしろ生活に根ざした庶民的な手業にこそ技術的な「美」を見出した長沢の視座は、民藝運動が勃興した1920年代から1世紀が経った現在においても色褪せることのない固有の価値を提起しつつ、装飾と芸術の境界を改めて揺さぶります。

 

長沢は1999年生まれ、高知県出身。2025年に京都芸術大学大学院修士課程芸術専攻油画領域修了し、現在は京都を拠点に活動しています。