東城信之介は、時間や記憶といった概念に強く関心を持ちながら、自分なりの解釈と応答を作品やプロジェクトとして発表を続けるアーティストです。スチールやチタン、銅板といった薄い金属板につけた細かな傷によって心象風景を描くReplicaシリーズでは、光の反射によって立体感のある像を表面に浮かび上がらせます。鑑賞者の視力や環境によって絶えず変化し続けるイメージは、東城自身が共感覚的な認知で掴み取ったおぼろげな虚像の生写しと言っても過言ではないでしょう。また近年では、古く錆びた看板などに自分自身の存在をマーキングするTaginguシリーズの制作にも取り組み、元あった形を解体し再構築することで、平面や立体という境界を超えモノ自体の時間軸を更新する試みを続けています。

東城信之介は1978年長野県生まれ、2004年に東京造形大学を卒業。現在は神奈川を拠点に活動をしています。これまでSICF(スパイラル・インディペンデント・クリエイターズ・フェスティバル)グランプリ受賞(2018)や、VOCA展グランプリ受賞(2019)など、多数の受賞歴があり、タイや中国を含むアジア圏のアーティストレジデンス・プログラム等にも積極的に参加しています。小海町高原美術館、上野の森美術館、広州53美術館など、国内外の美術館やギャラリーで作品が展示されています。