マイケル・ウィッテル

マイケル・ウィッテルの作品のモチーフとなっているダイアグラムは、科学では古くから実験や現象のデータを視覚的にわかりやすく表すための図表や、時には挿絵として用いられてきたものです。マイケルは、ダイアグラムの厳格で客観的な科学的美の世界に着目し、アートの文脈でダイアグラムの可能性を拡張すべく制作活動を行っています。マイケルは彼自身のアプローチを「空想的客観主義 / ロマンティック・オブジェクティビズム」と呼び、近年のプロジェクトでは、実在する科学研究や発見、データから着想を得てドローイングに落とし込む試みに取り組んでいます。

マイケル・ウィッテルは1976年イギリス・ノーザンバーランド生まれ。イギリスのブラッドフォード大学で生物化学を研究していましたが、大学卒業後、美術を学び、ロイヤル・カレッジ・オブ・アートの大学院を修了しました。2012年には文部科学省の奨学制度により、京都市立芸術大学大学院博士号を取得しました。

彼の博士論文は、マサチューセッツ工科大学出版局の発行する学術誌「レオナルド・マガジン」において、2018年にアートとサイエンス部門のトップ10に選ばれました。現在は京都を拠点に活動をしており、京都市立芸術大学や金沢21世紀美術館をはじめ、韓国の光州国立アジア文化センターや香港アートセンターなど、海外の機関でも展示やレクチャーを行っています。