主と客: 矢津吉隆 個展

29 June - 10 August 2019

このたびCOHJU contemporary artでは6月29日(土)より、矢津吉隆個展「主と客」を 開催いたします。


京都市立芸術大学美術学部で彫刻を学んだ矢津は、在学中よりアーティストグループAntennaの中心メンバーとして作品の企画から映像、立体造形、絵画と様々な領域で活動していました。独立後は京都を拠点に、人種や民族を越えて人間に共通する「神を感じる感覚」を主題として、立体、絵画、写真、インスタレーションなど多様な媒体を用いて作品制作をしています。化学や数学で補なうことのできない「あいまいなわからない何者か」を理解し伝えるために、私たちは宗教や妖精、怪物や幽霊といった形を与えてきましたが、矢津は光と影、有と無など相対する二極の中間領域に無限の可能性があることを作品を通じて示唆しています。

 

また、作家活動と同時に、新たな鑑賞スタイルの提案を目的とした宿泊型アートスペースkumagusukuや、製作中に生まれる廃材を再利用する副産物産店など数々のプロジェクトを立ち上げ、社会におけるアートの在り方を常に新しい視点で模索してきました。今展ではあえて展示を支える脇役であるはずの額や台座に焦点を当て、作品と空間との境界に挑みます。過去作を客とし、主として新たな台座を設えることで、「見せること」と「作品自体」に対する矢津の新たな解釈を投げかける展示となっています。ぜひこの機会にご高覧ください。

 

 

作家ステートメント


作品の重要性に異論はないが、その作品がどのように在るのか、つまりはどのような部屋に、どのような台座に、どのような額に、どのような設えによって展示されているのかもまた、非常に重要である。艶消しの白で塗られた方形の台座や、清潔な白木の額は、作品の成立を補助する役割を担っている。決して無闇に主張しない彼らの“力”を作家であればよく知っているだろう。通常、彼らには安定していて、均質で、平滑で、作品を損なわず脇役に徹することが求められる。しかし、例えば、不安定で不揃いでザラザラとした質感があり、作品と同等、もしくはそれ以上の存在感を放つ台座や額があってもいいのではないだろうか。

どちらが主でどちらが客なのか?

その問い掛けへの答えを現時点で私は持たないが、その主客の関係性によって生まれる新しい作品があるとするなら、それを見てみたいと思っている。